THE ROYAL PARK ICONIC NAHA
沖縄・那覇で琉球の自然と文化に抱かれ過ごす静謐な時間
Interview Article

2026年1月30日、沖縄県那覇市の中心地にオープンする「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」。那覇空港から車で約15分、ゆいレールで約13分の「県庁前」駅からすぐの好立地で、琉球の自然や文化の息吹を感じながら静謐な時間を過ごせるホテルです。

オープンに向けて、三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社から当ホテル開業準備室長で開業後には総支配人を務める仲田達志氏、プロジェクト推進部長の椋木浩平氏、そして今回プロモーション用のキービジュアルを手がけた紅型作家の新垣優香さんによる座談会を行いました。

ホテルのコンセプトは「琉球の島々に、育まれる。」
ホテルのコンセプトは「琉球の島々に、育まれる。」

―まずは「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」とはどのようなホテルなのか、仲田支配人からご紹介をお願いします。

仲田三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社が沖縄本島に初めて進出するホテルです。周辺はオフィス街であると同時に、国際通りの入り口で、那覇観光のスタート地点としても賑わうエリア。那覇市唯一のビーチである「波の上ビーチ」は徒歩圏、11階以上は海や首里城が見えるという眺望で、この上ない好立地だと感じています。

特徴的なのが、当ホテルは、琉球銀行さんの新本店ビル内にあるということ。琉球銀行旧本店は、1966年の竣工以来、2021年の取り壊しまで、街のアイコンとして地元の人なら誰もが知る存在でした。このような歴史を持つ琉球銀行さんの新本店ビルに入居する形で開業できることをとても光栄に思います。

具体的には、1階から6階までが琉球銀行本店、7階から13階までが「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」となります。歴史深い琉球銀行さんと、沖縄本島初進出となる当ホテルが魅力となって、地域の方々と観光客の皆様が共に集う新たなアイコンになれたらと思っています。

―コンセプトは「琉球の島々に、育まれる。」ということですが、「沖縄」ではなく「琉球」を掲げることになった背景を教えてください。

椋木当ホテルは、“「THE シリーズ」アイコニック”というブランドでの展開となります。「その地域の文化を通じて静謐な贅沢を感じる」というエクスペリエンスを大切にしており、まさにアイコニック=象徴として、地域の文化的な奥深い魅力を届けることに取り組んでいます。

この地で75年以上、沖縄の人々の暮らしを支えてきた琉球銀行さん。その「BANK OF THE RYUKYUS」という英語表記の最後のSには、“琉球列島全体に対する責任を果たす、その役割を担う”という思いがこめられているそうです。私たちは、そうして琉球銀行さんが築き上げてきた地元からの信頼や安心感はそのままに、ゲストの方々へ改めて琉球の文化の素晴らしさを伝える役割を果たしたいと考えています。そこで浮かんだキーワードが「琉球」でした。

琉球の文化は、衣食住すべてが自然とのつながりの中で生まれています。その魅力を五感で体感していただき、お客様自身が琉球の島々に育まれるような唯一無二の体験をお届けできればという思いから、このコンセプトが生まれました。

琉球の伝統と現代の感性で育む新しい挑戦

―新垣さんは、プロモーション用のキービジュアルを制作されました。このビジュアルのキャッチコピーは「琉球で、満ちている。」ですが、どのようなインスピレーションからデザインを進められたのでしょうか?

新垣最初に、「琉球で、満ちている。」という世界観を、モデルさんの実写と私のデザインのコラージュで表現したいというご要望をお聞きしました。そこで浮かんだのが、満ち足りた穏やかな表情をしたモデルさんの姿と、モデルさんの周りを私のデザインでやさしく包み込むようなイメージでした。私の創作活動の根底にあるグランドコンセプトは「ニライカナイ」(海の彼方にある理想郷)なのですが、その世界観を重ねて、海の中から南国の花々や蝶など、さまざまな生命の気配が浮かび上がり、モデルさんを包み込むような仕上がりを思い描きながら進めていきました。

―キービジュアルのデザインもそうですが、新垣さんは日頃から琉球紅型の古典柄を描くのではなく、新しい創作柄を生み出されていますね。「琉球」という言葉についてはどのようにお考えでしょうか?

新垣私は、沖縄県立首里高等学校の染織デザイン科で、伝統的な琉球紅型を学んだのですが、その当時から「いつかこの技術技法を取り入れながら、私にしかできない新しいことをやってみたい」と考えていました。日常にある沖縄の花や蝶を、私らしい表現で描いてみたいと思ったんです。なので、これまでは、「琉球」というより、「沖縄」や「南国」という言葉を意識してきたところがあります。その分、今回の「琉球で、満ちている。」というキャッチコピーがとても新鮮でした。紅型ではなく、琉球紅型と言うと、ぐっと重みや深さが出ますし、改めて「琉球」という単語に大切なものが宿っていることを感じます。アートディレクターさんが仕上げてくださったビジュアルは、黒を取り入れることで海の深さ、歴史の深さ、伝統の重みが表現されていて、白い波や風に見えるモチーフもあり、いろいろな琉球の風を感じています。

―仲田支配人、椋木さんは、新垣さんの作品についてどのように感じていらっしゃいますか?

仲田古き良き時代の技術を取り入れながら、現代の人に訴えかける感性が表現されていて、とても共感しています。伝統工芸が、何か新しい形で表現されていくというのは、ある意味、後世につながっていく大切なポイントだと思います。当ホテルも歴史ある琉球銀行さんと新たな時代を共に歩めるということで、新垣さんの作品とのつながりを感じています。

椋木私も当ホテルと通じるところがあると感じています。地域の象徴になるためには、昔から脈々と続いている文化を大事にしながら、未来に向けて新しい要素を取り入れることが大切だと思います。実は、銀行さんの本店ビルにホテルが入居するというケースは、日本において非常に珍しい事例となります。そういった意味でも新しい挑戦。伝統と新しい挑戦で、世の中に新しい価値を提供するホテルになっていけたらと思っています。

島の自然や伝統工芸を取り入れ、
文化の発信拠点に

―ホテルのさまざまなところに「琉球の島々に、育まれる。」というコンセプトが表現されているということですが、具体的にどのように落とし込まれているのか教えてください。

椋木7階のロビーに琉球石灰岩を使用したり、琉球アカギのベンチを置いたり、大きな芭蕉布のスクリーンで伝統的な琉球文化の世界を表現しています。テラスエリアに出ると迎えてくれるのが、今帰仁から植樹したガジュマルの木。とてもフォトジェニックで、ホテルのアイコニックな存在になっていくと思います。このエリアは内と外がつながり、風が通り抜ける開放的な空間で、伝統的な古民家に見られる雨端(あまはじ、深く張り出した庇とその下の空間)をイメージしました。聞こえてくるのは、今この瞬間にやんばるの森で生まれている音。鳥や虫の声、風の音など、リアルタイムで自然の音を体感していただきたいと、録音ではなくライブ中継にこだわりました。

ゲストルームは、琉球王朝時代に建てられた屋敷「中村家住宅」にインスピレーションを頂き、当時の暮らしで大切にされていた自然との共生をイメージしたデザイン。芭蕉紙やクバの葉などを取り入れたインテリアからも自然を感じて頂けると思います。

仲田琉球王朝時代から続く文化の一つ泡盛も、琉球諸島各地の酒造メーカーさんのものを集めて展示し、一部は召し上がって頂けるようにしたいと考えています。また、琉球王朝時代の「うとぅいむち(おもてなし)」をイメージしたエグゼクティブラウンジには、首里城の漆塗りをされた職人さんが手がけられた漆の壁を設置しています。沖縄の作家さんの作品を随所に取り入れ、ゲストの皆様にその魅力に触れていただくことで、作家さんの作品を実際に見に行こうとか、ここを拠点に広がっていくことを思い描いています。

―新垣さんは、今のお話をお聞きしてどのように感じましたか?

新垣伝統と自然を大切にされているホテルだということがとても伝わってきました。ホテルの中にガジュマルの木があるなんて、とってもインパクトがありますよね。それから、ホテルが文化の発信の場になるというのは素敵なコンセプトだと思いました。作家は生み出すことは得意ですが、それをどんな空間でどう使うかまで考え実現することは、なかなか一人では難しい。いろいろな方々の力があってこそ作品がより輝いて、よりたくさんの方々に知ってもらう機会になるので、このような思いをお持ちの方々と一緒にお仕事できることは作家にとって幸せなことだと思います。

―4月から11月までスタッフが着用するかりゆしウェアに新垣さんのデザインが採用されるそうですね。

仲田今後も末永くつながりを持ち続けたいと思い、お願いしました。ふとしたお客様との会話の中で、作家さんのことをお伝えする機会を持ちたいと考えているので、スタッフが着用するかりゆしウェアもそういったきっかけの一つにしていければと思っています。

食と会話と体験。地域と共に生み出す喜びの循環

―レストランのお料理について、こだわりや魅力を教えてください。

仲田オールデイダイニング、鮨、鉄板焼、3つのレストランがあります。オールデイダイニングでは、朝はブッフェ、昼はビジネス向けのランチと、ゆっくりと食事を楽しみたい方のためのコース、夜はグリル系の料理をシェアできるギャザリングテーブルを用意しています。鮨と鉄板焼は同じエリアにあるのが特徴で、両方召し上がりたい方のためのコラボメニューを提供できることも独自の魅力だと思います。食材は地産のものを中心に、調理人のアイデアを活かしたオリジナル料理を考案中です。朝食のブッフェでは、生産者さんのご案内を展示するなどして、少しでも地域の農家さんへ貢献ができたらと考えています。

―県内外、海外からさまざまなお客様が訪れると思いますが、サービスについてはどのようなことを大切にされていますか?

仲田(当社のVISION&CREDOである)「幸せのピースになる」という言葉を大切にしています。旅に出かけると、何かに感動したり、涙を流したり、ジグソーパズルのように、いろいろな場面があると思います。その中で、我々のホテルでの滞在が一つの幸せなピースとなれることを目指した言葉です。押しつけすぎず、引きすぎず、心地よい加減のサービスを提供して、お客様の感動を生み出せるホテルにしたいと思っています。

椋木同じくロイヤルパークホテルズのグループ全体で大切にしているVALUEとして「街と、もてなす。」という言葉があります。滞在中、スタッフとのコミュニケーションから琉球各地の魅力を知っていただき、実際にその場所に訪れ、その文化に触れて楽しんでいただく。そういった素敵なサイクルを実現できたらいいなと思っています。それが私たちにできる地域貢献、社会貢献なのかなと思います。

この地に根ざし、新たな伝統を作る未来へ

―最後に、皆様が目指す未来について教えてください。

新垣ホテルが歴史を刻むように、時とともに私の作品自体も熟成されて、開業当時キービジュアルに使って良かったなと思って頂けるような作家になっていきたいです。15年前から、私が新しい表現として取り入れてきたグリッターは伝統的なものから外れますが、今では私の作品になくてはならない大事な素材になりました。このスタイルをあと20年、30年、変わらず続けていくことで、私なりの伝統を作っていけたらいいなと思います。

椋木このホテルから琉球列島のさまざまな魅力を発信していく一方で、まだまだ我々が知らない魅力や伝えきれていない文化がたくさんあると思います。そのため開業後も地域の方々と一緒に新たな仕掛けを取り入れながら、まさにアイコニック(象徴)となるようなホテルに育てていく必要があると感じています。経年劣化ではなく経年良化、時間とともに味が出て、奥深い文化的な価値を体現していけるホテルを目指したいと思います。

仲田琉球のことをしっかり発信しながら、新しいことを創造できるホテルとして、後世や次の時代につながる場所になりたいと思います。長年沖縄を支えて来られた琉球銀行さんに負けないくらい、ガジュマルのようにこの地に根ざして、地元の方々に愛されるホテルを目指していきたいです。

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